ISO/IEC 42001とは

情報技術-人工知能-マネジメントシステム

ISO/IEC 42001は、AIマネジメントシステム(AIMS: Artificial Intelligence Management System)に関する国際規格です。AIの信頼性・安全性・倫理性を確保し、組織がAIを責任をもって管理・運用するためのフレームワークを提供します。

目的

  • AIシステムの信頼性・安全性・倫理的な開発と運用を支援する包括的ガイドラインの提示

  • 組織における責任あるAI運用体制の確立

主な特徴

  • 2023年10月に発行された新しい規格

  • 開発・展開・運用にわたる包括的なリスク管理アプローチを定義

  • AIシステムのライフサイクル全体を対象

重点分野

  • ガバナンス

  • リスク管理

  • 倫理的配慮

  • セキュリティと信頼性

  • プライバシー保護

  • 透明性・説明可能性の向上

対象組織

AIを開発・提供・利用するすべての組織(大企業から中小企業まで適用可能)。


規格項目(抜粋)

ISO/IEC 42001:情報技術-人工知能-マネジメントシステム

4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解/4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解/4.3 AIMSの適用範囲の決定/4.4 AIMS

5 リーダーシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント/5.2 AI方針/5.3 役割・責任・権限

6 計画策定
6.1 リスク及び機会への取組(6.1.1 一般、6.1.2 AIリスクアセスメント、6.1.3 AIリスク対応、6.1.4 AIシステムの影響評価)/6.2 目的及び達成計画/6.3 変更の計画策定

7 支援
7.1 資源/7.2 力量/7.3 認識/7.4 コミュニケーション/7.5 文書化した情報(作成・更新、管理)

8 運用
8.1 運用の計画策定及び管理/8.2 AIリスクアセスメント/8.3 AIリスク対応/8.4 AIシステムの影響評価

9 パフォーマンス評価
9.1 監視・測定・分析・評価/9.2 内部監査(一般、プログラム)/9.3 マネジメントレビュー(一般、インプット、結果)

10 改善
10.1 継続的改善/10.2 不適合及び是正処置


ISO/IEC 42001が必要な理由

  1. 社会的リスクの高まり
     バイアス、説明責任の欠如、プライバシー侵害、誤作動等のリスクを組織的に管理する枠組みが必要。

  2. 各種規制・ガイドラインへの整合
     EU AI Act、NIST AI RMF、日本の各種ガイドラインと整合しやすい設計。国際的信頼の獲得に資する。

  3. 倫理・信頼性の内部統制
     利用目的・体制・評価・監視・是正までをマネジメントシステムとして文書化・運用・改善。

  4. 取引先・顧客からの信頼確保
     「適切に管理されたAI」であることの説明責任と証明につながる。

  5. 他規格との統合運用が容易
     ISO 27001、ISO 9001、ISO 31000等との親和性が高く、統合MSとして効率的に運用可能。

結論:ISO/IEC 42001は、企業がAIの信頼性・倫理性・安全性を対外的に示すための包括的な国際基準です。


取得前に理解しておくこと

ISO/IEC 42001の構成は以下を含みます。

  • 本文

  • 附属書A:管理策(ISO 27001の附属書Aに相当、適用宣言書の参考)

  • 附属書B:実装ガイダンス

  • 参考:潜在的な組織目的・リスク源、複数分野にわたるAIMSの使用

注意:AIの導入手順や設計・妥当性確認の詳細は本文に直接列挙されません。附属書A・Bや自組織の文書化で補完します。

また、自組織が①開発者 ②提供者 ③利用者のいずれに該当するかを見極め、該当性に応じて要求事項(設計・妥当性確認、受入・出荷検査、運用手順等)を具体化してください。いずれの形態でもリスクアセスメントは必須です。


取得の準備(要点)

  1. 要求事項の理解
     例:8.1「運用の計画策定及び管理」では、
     >「プロセスが計画どおりに実行されたことを確信するために必要な範囲で、文書化した情報を利用可能な状態にする」
     と簡潔に示されますが、実務では広範な仕組み・記録整備が必要です。

  2. 適用範囲の決定(対象業務・拠点・システム等)

  3. AIリスクアセスメントの確立(6.1.2)
     - 方針・目的に整合/反復して一貫した結果が得られる設計
     - リスクの特定・分析(結果の重大性・発生可能性・レベル)・評価(基準比較と優先付け)
     - プロセスの文書化・維持

  4. AIリスク対応の確立(6.1.3)
     - 対応選択肢の選定、附属書A管理策との照合(抜け漏れ確認)
     - 必要に応じ追加管理策を定義


附属書A:管理策のカテゴリ(概要)

  • A.2 AI方針

  • A.3 内部組織

  • A.4 資源(データ/ツール/計算・システム/人的資源 等)

  • A.5 AIシステムの影響評価(個人・社会への影響を含む)

  • A.6 ライフサイクル(設計・開発・検証・導入・運用・監視)

  • A.7 データ(取得・品質・来歴・準備)

  • A.8 利害関係者への情報提供(ユーザー情報、外部報告、インシデント伝達)

  • A.9 AIシステムの使用(責任ある使用の目的・プロセス)

  • A.10 第三者・顧客との関係

多くの管理策が**「定義・特定・評価・文書化」**を要求します。自組織の実態に合わせて過不足なく整備してください。


文書化した情報(例示)

必須・推奨の代表例

  • AIMSの適用範囲/AI方針

  • AIリスク・機会への取組(アセスメント・対応プロセス、結果)

  • 必要な管理策(附属書Aとの対応関係、適用宣言の根拠)

  • 目的及び達成計画/力量の証拠

  • 監視・測定の結果証拠/監査プログラムと結果

  • マネジメントレビューの結果/不適合・是正処置の証拠

8章「運用」に関する文書化は、自組織が開発・提供・利用のどの立場かにより必要範囲が変動します。


会社案内(掲載用・校正版)

有限会社 都城情報ビジネス
〒885-0081 宮崎県都城市鷹尾1-9-18
TEL:0986-21-1045
E-mail:info〇www.mjb.jp
代表取締役:松元 義仁(マツモト ヨシヒト)
事業:ISO42001コンサルタント


プライバシーポリシー(冒頭部・体裁整備)

作成日:2024年6月6日/最終更新日:2024年6月6日
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